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 第147回授業研究会

ビデオによる授業研究

 2012年1月28日(土)午後2時から

 
 

第147回授業研究会の授業者は、上尾栄美子先生(江戸川区立篠崎第二中学校)です。以下は上尾先生の自己紹介と今回の授業についてです。
 
『江戸川区立篠崎第二中学校の上尾栄美子と申します。平成20年度より、東京都中学校英語教育研究会研究部で勉強させていただいています。今年度の公開授業を担当させていただくことになりました。
 研究部では、昨年度から辞書指導の研究を行っています。私自身はこれまで、3年生担任が続いたこともあり、辞書指導を行ってはいましたが、3年生になってからの導入に苦労し、なかなか生徒に辞書の使用を定着させることができませんでした。昨年度、7年ぶりに1年生担任を務めることになり、4月から辞書指導を始め、1年生の段階では、ある程度、辞書の使用を定着させることができました。
 今年度は2年生担任をしておりますが、本校は2年生と3年生で少人数授業を行っており、現在は学年の1/3の生徒しか教えることができていません。発展・基礎・基礎と分かれている内の基礎クラスを担当しています。授業のリーダーが抜けた状態で、クラス単位で行っていた授業と同じことはできません。昨年度、私が指導した結果、英語が苦手な生徒たちを作ってしまいました。その責任を感じながら、彼らにも何とかして活動に取り組ませようと悩みながら授業をしている日々です。
 今回の授業では、教科書本文の導入・内容理解の中で、辞書を使用する場面を見ていただこうと考えています。指導単元は、Lesson 7 How Can We Find Out?, NEW CROWN 2 (三省堂)です。』
 
 
 続けて上尾先生の研究会メモです。
・指導案について
 1回の授業の中での評価項目は1つか、2つにする。(多くて3つ。)指導の留意点とは区別すること。
 評価基準に、「英語を聞いて返答したり…」と記載していた。「返答」ではなく「応答」とすべき。日本語を大事にすること。

・挨拶について
 いつも聞いているからというだけで習慣のように、日付、天気を聞いているが、そこには意味をもたせるべき。例えば、日付を聞いた後、今日がクラスのある生徒の誕生日であることに触れ、皆で祝うとか、天気を確認したら、明日の天気を話題にする、そこに英字新聞の天気欄を用意しておく、とか。
 また、"How many days are there in February?" "February of this year is special." ・・・と閏年を紹介する。そこで、オリンピックを話題にすることもできる。挨拶の段階で、生徒の興味を引きつける工夫が必要。

・Oral introduction について
 新出語の'suburb' が生徒にとっては難しかった。前ページのピクチャーカード(東京近郊の月平均気温の分布)を再度利用して、自分たちの住んでいる地域が分布のどの辺りにあるかを確認させると良かった。
 ピクチャーカードと併せて、キーワードも提示すると良い。ここで提示したキーワードを、後の活動のリテリングで再利用できるように工夫する。

 単元や導入するページの内容にもよるが、最初からピクチャーカードを用いて題材に入らずに、カットアウトした久美とポールの絵を用いて、簡単なことをもっとインタラクトすると良い。例えば、久美の絵を見せて、"Do you know her family name?"と聞く、等。ここで、普段なかなか復習できない既習事項を取り入れる。
 また、教科書のキャラクターに肉付けをして利用することもできる。例えば、「久美の嫌いな野菜は○○」と決めておいて、それを繰り返し利用する。そうすると、教科書に出てこない野菜の名前等をインプットすることができる。この応用はいくらでも可能。

・Explanation と辞書の使用について
 新語がわからなくても読めるタスクを与えて、ギリギリまで辞書を引かせないようにする。
 辞書を引くことで理解が深まるかどうかがポイント。論理の流れを大事にすること。

・New words について
 フラッシュカードを見せ、すべての語を初見で読ませるのではなく、初見でも読めるものとそうでないものを分けて考えてもよいのではないか。
 フラッシュカードをもっと上手に使うこと。最初の3文字だけ見せて読ませる練習等も入れる。

・Reading aloud について
 教師によるmodel readingが必要。生徒がじっくり聞いて意味を確認する。
 backward buildup で繰り返し読ませること。
 
 buzz reading で必要なのはモニタリング。座って落ち着いて読ませるべき。
 buzz reading を立たせて行っている。人前に出てスピーキングを行うことも考えて。
 生徒をいかにアクティブにするかという視点もある。
 読む回数で方向を変えるのなら、4回読み終わった生徒を座らせるのではなく、立ったまま読み続けさせるようにした方が良い。読むのが遅い生徒だけが立っていなくてはならない状況は良くない。
→いずれにせよ、目的が大切。

 音読は基礎体力。教科書の音読ができなければ、生徒は家に帰って読まない。最初の4行だけでも完璧に読めるようにする等して、家で読ませること。基礎体力を付けさせる。
 
上尾先生のレポートはご自分のために研究会の中でとられたメモをお借りして掲載しています。かなり多様な内容になっているのは、直接授業のある部分を指摘されて展開したものばかりでなく、そこから発展的に話が進んだことも含んでいるからです。一時間の授業と2時間余の研究協議会でこれだけの議論が行われたこと、そしてそれをこのように記録して、授業改善に生かそうとする姿勢は素晴らしいと思います。一つ一つは断片的なメモですが、その内容は多くの英語教師に共通する課題であり、うまく使えば有効な資源になります。まさに、貴重な財産です。前回から、この形式のレポートを載せるようにしていますが、このような形で、多くの英語教師と共有させてもらえることに感謝します。(杉本@両国附属中)
 
 

 

    

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