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 第146回授業研究会

ビデオによる授業研究

 2011年11月19日(土)午後2時から

 
 

第146回授業研究会[ビデオによる授業研究(35)]は、福田真希子先生(葛飾区立水元中学校)に授業を提供していただき、実施しました。前回より、授業者本人のレポートを記録として載せています。
まず、研究会の案内に載せた福田先生の自己紹介です。
 
『福田 真希子(ふくだ まきこ)です。福岡県出身で、大学では教育学部英語専攻でしたが、大学在学時は中国に留学し、企業に就職を志望していました。卒業後、オーストラリア滞在を経て、約6年前就職するため上京しました。その後教職を志し、葛飾区で産休代替教諭として約3年間勤務した後、区内の水元中学校に採用、現在2年目です。まだわからないことばかりの未熟者ですが、たくさんご指導いただいて、独りよがりな点を少しでも改善していきたいです。体を動かすことが好きです。専門的な知識はありませんが、ソフトテニス部の顧問をしています。

授業では基礎・基本を繰り返し行い、定着を図っています。本校は学力が低い生徒も多く、苦手意識を持たせないように、全員が参加できる活動を取り入れ、飽きさせないようにやり方を工夫するよう心掛けています。1年目の昨年度は生徒の興味・関心を引くことばかり考えていましたが、今年度はテンポや指示の出し方など基本的なことに重点を置いて指導しています。特に、1年生の頃より発音の声が小さくなってしまっているので、教科書の音読量を増やしました。また、本校の中では落ち着いており、目立った問題行動もない学年ですが、周囲との人間関係や、行事などにおける団結力において少し希薄さを感じています。そこで今年度は、ペアでのスピーキング活動を多く取り入れ、英語の授業を通してクラスの全員とコミュニケーションができるようになってほしいと考えています。

今回の授業は10月に行う2年次研修の研究授業を撮影する予定です。中学2年生です。昨年度から担任している学年で、初めて持ち上がりを経験しました。自分が担任するクラスで、学力が低く、英語が苦手な生徒もいますが、素直に反応してくれるクラスです。使用教科書はTOTAL ENGLISH2, LESSON5B I want to know about the3Rs. 不定詞の名詞的用法の導入を主に扱う予定です。
 続けて福田先生の研究会メモです。
【指導案について】
・評価規準は1時間につき1,2個程度。多すぎると評価のための授業になってしまう。
・帯活動は体育の準備運動みたいなものなので、評価すべきではない。中盤から評価すればよいのでは。
・評価規準を考えるとき、can doを書き出し、教師の支援、生徒の活動を考えてみる。

【帯活動について】
・マシンガントークの質問に繋がりがない。1番→2番と、会話のキャッチボールにしていく。
・意味がある質問か。目的をはっきりさせ、言語材料をしぼっていくこと。
・帯活動は大切な時間。何のための活動か、目的をはっきりさせること。
・この活動ができたから目に見えてよかった、という場面をつくるとよい。

【oral introductionについて】
・何を教えたいか、何をさせたいか、タスクをはっきりさせること。
・教師として生徒が英語を勉強するのを支援するか、考えること。教師のコントロールが強いと生徒は窮屈になり声が出ない。生徒が発話したくなることをふったり、生徒が勝手なことを言おうとしているのを待ったりする時間も必要。
・教科書を読ませたいと思うなら、教師が全部説明してはいけない。説明が多く、interactionが少ないので生徒の頭が休んでいて、読んで考える力がなくなってしまう。
・picture cardsをもっと活かせばよかった。

【new wordsとreading aloudについて】
・口で言えるようになってから、音と文字をつなげること。
・いろいろな読み方をやってみるのはよいが、必ず何のためにするか考えること。
 例えばbuzz readingはただ言わせているのではなく、individualで評価するための活動。
・教科書を家に帰って読ませるためには、学校で読めるようにさせなければならない。
・1文ずつ読ませると長いので、区切って読ませるなど工夫したほうがよい。

【silent readingについて】
・理解・読み取り・確認の活動にとどまっている。
・true or falseで生徒が周りを見て手を挙げないで自分で考えて手を挙げるために、
 true→raise one finger false→raise two fingersとするとよい。

【全体について】
・文法事項の定着でなく、can do(その言語を使って何ができるか)を目的にして、指導計画を立てていく。
・教師のコントロールが強くて生徒の発話が少ないので、生徒にoutputさせる時間が必要。
 
以下は杉本@両国附属中の感想です。
生徒が一生懸命に福田先生の指導に反応しようとしている様子がうかがえました。無駄な動きや余分な言葉などもありますが、まずこうやって生徒たちに前を向かせ続けることは、そう簡単ではないはずです。2年目の英語教師の姿として素晴らしいと思います。

さらに、すばらしいのは福田先生のリポートです。自分のためのメモを提供してもらったのですが、実際には質疑応答に参加しながらの記録です。メモをとるのにそう好条件ではないはずですが、非常に的確に問題点をつかんでいると思います。いくつかの研究会での研修経験を経てこの授業研究会に臨んでいるという、真摯な研修姿勢を感じさせます。

そして、最後にこのレポートの内容ですが、しかり受けとめればこのレポートが有効な「救いの手」になるような英語教師はかなりいるのではないかと思いました。どれも、初歩的でもあり、実はかなり深い課題でもあります。つまり、2年目の人にも、そして10年以上英語を教えている人にもかなり有効なリストなのです。課題はエンドレス、いつどの段階でどのくらい深められるか。そういう見方ができる優れたメモです。

この日の研究会の参加者は、それぞれの立場と経験の中で、自分の授業の改善点に気が付いたのではないでしょうか。この記録を読むみなさんにも、このリストを生かしてほしいと思います。(杉本@両国附属中)
 
 

 

    

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