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 第135回授業研究会

 ビデオによる授業研究 [27]

 2010年1月16日(土) 東京都立両国高等学校附属中学校
 

2020年最初の授業研究会は、両国高等学校附属中学校で、ビデオを使った授業研究(27)を行いました。授業者は西東京市立ひばりが丘中学校の當麻忠幸先生です。参加者は25名。中学校の先生はもちろん、大学生、来年度新規採用予定の方、高校の先生方など、様々な立場から英語教育に関わる方々が集まりました。2010年もこの研究会らしい形でスタートを切ることができました。

授業を行った学年は2年生で、前時に新出文法事項の【look+形容詞】の導入を済ませ、本時はテキスト本文を扱った授業。教科書は三省堂New Crownで、単元はLesson 6 Ratna Talks about Indiaのsection 3。この授業は、東京教師道場の研究授業として行ったものです。

英語の授業についての課題は、當麻先生ご自身の言葉では、次のようになっています。「自分が今最も苦手としていることは教科書の扱いです。特にOral Introductionをどこまで行うかで常に悩んでいます。何を狙い、どのようなアプローチでその単元を扱うかでそれは異なってくるのだとは思いますが、今はまだ整理しきれていません。今後は題材にとって最も適切であると同時に3年間の見通しを持った中での計画的な指導ができるようになることを目標としていきたいと考えています。」


では、当日の議論からいくつか紹介します。

・當麻先生のTeacher talkは自然で聴き取りやすい英語で、生徒はよく反応している。生徒の声もよく出ており、指示は的確に通っていた。英語の授業で、継続した英語の環境を保証している成果だろう。生徒が安心してゆったりと授業を受けている雰囲気がある。指導が行き届いている。

・PCとプロジェクターをいくつかの場面で使用し、生徒の興味を惹きつけ、練習に参加させていた。非常に効果的だった。新しい技術を利用することは必要だし、効果が上がることは素晴らしい。これは、常に授業者の心に、「やりたいこと」があり、「どうやったら実現できるか」という問題意識がなければならない。そうでなければ、技術を活用するのではなく、技術に振り回されてしまうこともある。

・授業開始に日付を聞かなかったのは、2年生としては妥当だろう。練習として確認の段階を過ぎたら、日付や曜日を話題にする時には、何かそこに聞くべき意図があってその後の話題が展開する余地があるのが普通だ。機械的に日付を聞いておけばいいというのは、間違いだろう。

・日付については、日直の生徒に事前に調べさせておき、「今日は何の日?」と説明させ、話題を掘り起こしているという実践例も紹介された。コミュにカティブということは、話す意味があるということで、工夫の余地はまだまだあるだろう。

・帯活動であるChatはプロジェクターの画像から語いを引き出して練習させている。生徒の反応は良かったが、画像と単語(文字)のタイミングなどの出し方、取捨選択は段階を考えて行うべきだ。同じである必要はない。

・いろいろな形で発音させているが、repeatが多い。先生の英語について言うのはハードルが低いので練習の最初のステップにはよいのだが、次のチャレンジのステップも用意しておきたい。

・復習として、プロジェクターを使ったflash cardの発音練習がったが、その後に音読練習は続かなかった。これは指導の段階が飛ばされており、生徒にとっては、細切れの別の練習をならべただけになってしまう。

(當麻先生が課題としてあげていたOral Introductionについて)

・Oral Intoroductionから連続した活動がlisteningでは、生徒にとっては同じ学習が続くことになる。

・前時の練習がないまま新教材に入るのは、ハードルが高いのではないか。

・本時に関わるポイントをしっかりと練習しておくことが必要。教科書の新出語句だけでは不足の場合もある。生徒と内容に合わせて、カスタマイズすべきだ。

・ListeningからOral intoroductionに続ける手法として次のようなものがある。 @CDを聞かせ、耳に残った語いをあげさせる。Aその中から、一部を板書しておく。板書されるリストの基準は、その後で行うOral Intoroductionに必要なもの。Bその語を使って、内容を説明する。

・Oral Intoroductionの後は、概要が分かったところで音読させる。Explanationの後の音読練習は、説明されたことを理解して読む。それは段階として別だ。

・授業中に活躍したPCとプロジェクター、主にパワーポイントは非常に効果的であるが、一律なものになる心配はないか。画面を見て、人を見なくなる心配はないか。画面が消えてしまうので、再構成しづらいという心配はないか。などの問題も提起されました。


最後の視点については、十分に考慮する必要があります。こういった問題意識から、使いこなしは生まれていきます。ただそれを使えばいいという教具も教材もありません。カセットテープですら、「肉声でなければならない」という意見に対して、様々な使いこなしが試みられて、(今ではCDになっていますが、)当たり前のように教室においてあります。こういった革新に対して我々のとるべき道は、足下をしっかり見据えて使いこなしていくことですね。途中の段階においては、授業や生徒の管理・コントロールについてはより難しくなることを覚悟しなければなりません。そのリスクの後に成果があるはずです。

と、今年も頑張らなければと、決意を新たに、今年最初の授業研は終わりました。やはり問題は、新年の決意がいつまで持つか!?というあの永遠の課題に行き着きました。

みなさん、お正月の決意、続いていますか?僕の決意は…、もちろん…、ちゃんと続いたら教えます(^-^) (文責:杉本@両国高等学校附属中学校)

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