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 第131回授業研究会

 ビデオによる授業研究 [24]

 2009年 5月 23日(土) 午後2時から
 

第132回英語授業研究会は参加者25名。授業を提供された福島美記子先生(板橋区立高島第三中学校)がこの会のおなじみのメンバーであったり、都中英研研究部での意欲的に活躍されていることもあり、学校行事やインフルエンザなどでの集まりにくい時期にも関わらず多くの参加者を得て活発な会になりました。

授業は5月の連休明けのタイミングで収録されました。授業については連休のブランクの後なので福島先生も生徒の反応を心配していたようですが、非常に真面目に先生の指示に反応し、よくコントロールされたものです。1年生からの指導の跡がうかがえます。指導案も動詞の練習や歌などの帯状に計画された活動を盛り込み、教科書を使ったメインの学習にさらに発展的な読み物やwritingの活動が配置されています。また、研究中であるとのことでしたが、年間の指導と評価の計画の中に授業を位置づけており、その姿勢の確かさが感じられます。

Bingoでは単に単語のみを読み上げるのではなく、教科書で使った英文のリサイクルを意識して例文を先に読み上げてから単語を示すやり方が効果的に使われていました。ALTの授業ではさらに様々な英文を耳にすることができるそうです。短時間ですが、生徒はよく集中して取り組んでいました。

次に帯状の活動で差し込まれている「動詞の練習」になります。フラッシュカードでこれまでに出てきた動詞を現在形と過去形、その意味を確認しながら練習していきます。日頃から生徒に動詞に注目させるという意図があります。ここでは、復習の語いが中心ではあるが、生徒が充分にイメージを持っていない語については難しい活動になっていないか、名詞や形容詞ならバリエーションの展開としてある程度は可能か、例文と一緒に提示することが重要で、辞書引きの指導と会わせてできないか、などの議論がありました。確かに文法を整理する時に動詞は非常に重要です。その動詞に注目させることができれば効果は大きいと思われます。さらに研究すべき問題提起だと思います

続けて、英語の歌、これもちょうどこの日に学習している動詞の過去形に注目させながらの学習です。白鳥英美子さんの「未来へ」という素敵な歌で生徒も興味を持って取り組んでいました。動詞の過去形への注目という課題が適切であったかという議論もありました。

ここから教科書の内容に授業は向かいます。まずはr復習。ピクチャーカードを使いながら前時の内容の確認。Oral Interactionの手法を取り入れて生徒とのやりとりを中心に進みます。ここでは、覚えているかどうかという記憶の確認に偏ってしまっていないか、復習の音読が無くてよいか、などの意見が出ました。

復習のステージから、同じ流れでピクチャーカードを使ったOral Introductionに進みます。Oral Introductionの理想型はEnglish Onlyで展開することと長先生からのお話がありました。その時に手助けになるのはpicture cardやaudio / visualを利用した教材です。日本語の使用は極力避けるべきステージです。実は、「自分の授業のビデオを見て、自分の日本語使用の多さに驚いた」とはこの日の福島先生の言葉です。これは実際にやってみないと実感がわかないのですが、思わず説明してしまうという失敗は我々共通の悩みですね。ビデオでのチェックは効果的です。

その後授業は単語の練習から本文の音読練習へ進みます。福島先生の音読の指導は細かくステップが刻まれていました。議論されたのは、Flash Cardから音読練習への流れが途切れてしまった、モデルはCD中心よりも先生の音読を元にした方がいいのではないか、bus readingのタイミングを再検討した方がいいのではないか、など。長先生からも基本的な音読指導のステップについて指導がありました。

授業はさらに英文を読むプリント学習が続きます。全体を通して非常に密度の高い展開です。積み重ねた指導と信頼の関係がなければ破綻してしまいそうな分量ですが、生徒はそれをよくこなしていました。

非常に多くの要素を検討しながら進められたこの授業での実践と、研究会全体を通して議論されたいくつもの視点に対する福島先生の率直で真摯な対応と研究の姿勢には、本当に頭が下がります。前に紹介したとおり福島先生はこの研究会に学生の頃から参加しており、今回は授業提供も2回目、着実な歩みに頼もしさを感じます。東京都が新規採用を極端に減らしていた時期に教員になったというのもうなずけますね。(文責 杉本 薫@両国附属中)

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