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 第129回授業研究会記録

 ビデオによる授業研究 [22]

 2009年 1月 17日(土) 午後2時
  

年が明けて、1月の授業も軌道に乗ってきた17日(土)、第129回英語授業研究会「ビデオによる授業研究(22)が、17名の参加で開催されました。

さて、授業者は江戸川区立小松川第一中学校の吉田佳世先生は自己紹介の中にあるように教員4年目という若手の先生ですが、意欲的に授業改善に取り組んでいます。

授業は1年生、NEW CROWNのLESSON7 "Students in the USA"のsectionA現在進行形疑問文の部分を扱いました。吉田先生が英語の授業についての課題(自己分析)としてあげられていたことがいくつかありましたが、中でも「1時間の中で教科書の内容理解にかける時間が長く、その分パターンプラクティスやペアワークが減ってしまうことがある。」のように教科書の扱い方について問題提起がありました。それでは、当日の議論をいくつか紹介します。

・授業では生徒の声が自然にでていて、とても用雰囲気を醸し出しています。最後の英語の歌の場面でも、無理に歌わせる様子もなく、クリスマスの歌を楽しんでいる雰囲気はとてもよかったと思います。「活発な男子生徒」という先生の表現は、何でも思いついたことをすぐ口に出してしまう幼さを指導したいという気持ちがあるようです。確かに学習効率の面で、じっくり取り組む場面がこれから必要になりますが、この「生徒の発話を促す」ということは、実は非常に高度で重要な授業の要素でもあります。自然にこれができる先生もいます。比較的若い時には作りやすい雰囲気であることも事実です。とにかく吉田先生の貴重な財産ですから、うまく活用して欲しいと思います。生徒が英語の授業を楽しみにしているということは、このビデオからも明らかです。

・あいさつからCasual Talkの時間を用意して、英語でのやりとりを必ず経験させるというのは大切なことです。内容はいろいろ工夫できますが、今回のようにあまり「復習事項」にこだわらなくてもよかったかも知れません。コミュニケーションの自然さも重要な要素ですから。特にここで扱っている現在進行形は面と向かってのコミュニケーション場面では、想定しにくい表現なので。

・授業の構成についていくつか意見が出ました。Pairworkでの新教材の導入とその発話内容を書き取らせるwritingの作業の時間が教科書に関する学習で約20分間ほど分断されてしまうことはどうか。長先生からも、生徒の学習への意識の流れを妨げない授業展開をというお話しがありました。

・Paiworkは進行形の疑問文を使ってのやりとりでBattleship Gameを行います。発話する英文は機械的な文型のドリル練習ですが、ゲームになっているので、生徒は非常に熱心に取り組んでいました。とりあえず、文を組み立ててはっきりと発話するという当初の目的は達成できていました。ただ、発話させる疑問文が、コミュニケーションとしての意味を持たないので、さらに内容の工夫が必要でという意見もありました。

・教科書についての学習は、@前時の内容の復習、A新しいページの内容理解、B音読練習とと必要なステップをきちんと踏んだ構成です。時間も約20分とそれほど長すぎるという感じでもなかったように思います。@の復習では、ピクチャーカードを使って、前ページの内容の確認、英語でのQAです。次の新教材のオーラルイントロダクションでも、このQAの中で主語と動詞の組み合わせに生徒が戸惑っている様子がありました。Yes, she is / does / などの混乱です。YESやNOなどの内容は分かっているのに動詞を間違えるケースを直させると、YESやNOそのものから直そうとする生徒もいて、イントロダクションの内容の連続性が途切れることもあります。動詞と主語の組み合わせ、疑問文に対する答え方、どちらも時間をかけて、繰り返し練習する必要があります。最初のCasual Talkの時間なども使えるかも知れません。

・板書の計画が必要です。ピクチャーカードだけでは充分なヒントにならないので、キーワードも与えてはどうか。また、復習段階では、QAで理解したかどうかをみるだけでなく、ピクチャーカードやキーワードを使って内容を再現させるなど、習った英語を運用する場面が必要だろう。という意見がありました。

・内容説明には時間をかけているが、例えばここでの「アメリカにおけるスペイン語の位置」「多言語社会」への言及という文化的な背景知識などについての配慮も必要なレッスンです。Spanish is very popular.という本文もどう理解させるかは指導によるところが大きい。

・教科書本文については、音読練習の他にも英文を何回もリサイクルさせる練習を考えたい。例えば本文の単語を並べかえて、再現させるなど。そのうえで、先のプレゼンでの内容の再現のように、音読ができるようになってからさらに挑戦する学習活動が欲しいところだ。


僕は、今回授業のビデオを提供してくれた吉田佳世先生には、江戸川区の研修会で昨年の6月から何回かお会いしました。その研修会で吉田先生が11月に授業を公開した時に、この授業研究会の話を持ちかけたところ快諾、すぐ12月には授業のビデオ収録。約1ヶ月の間に2回の公開授業、しかも最初の公開時の反省にも着実に取り組まれており、ハードなスケジュールを誠実にこなした意欲は文句なく立派です。授業研究会の2009年はこういう「若い力」の授業改善への意欲と熱気でスタートしました。今年も頑張らなくては(^-^)  (文責:杉本@両国附属中)

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