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第114回授業研究会

2006年 7月15日(土) 午後2時から

会場は、江東区立東陽中学校。

テーマ 「授業を見直そう」 ビデオによる授業研究(9)


第114目の研究会は、授業者は壽原 友理子先生(新宿区立新宿中学校)です。以下は案内にも載せた壽原先生の自己紹介です。

『今年で教師となって5年目です。初任校は新宿区立大久保中学校でしたが一昨年閉校となり、昨年からは統合新校の新宿中学校で教えています。初年度からずっと少人数指導で必修授業を行っており今年度で5年目ですが、毎年スタッフが変わったり、クラス分けの仕方を変えたり、なかなか“これだ!”という形に落ち着けず試行錯誤をくり返しています。
私が授業で大切にしていることは、なるべく多くの英語に触れさせること、そして考えさせることです。1年生から3年生まで担当しており、学年によって生徒の様子も様々ですが、最近感じているのは、授業にメリハリをつけることの難しさと50分の授業で書く活動を十分にとることの難しさです。
今回見ていただく授業は、ローテーションの関係で2年生の発展クラスのものになると思います。この機会にたくさんの先生方からご意見をいただき勉強したいと思います。よろしくお願いします。』

参加者は11名、たいへん暑い日でした。しかも、開始直前に急な雷雨に見舞われるという悪条件での開催になりました。よい条件としては、東陽中学校の英語室にもエアコンが配置されたこと、そして参加者の熱意です。快適な環境の中で、協議が深められました。

壽原先生の授業は、2年生のクラスで、習熟度別に少人数編成されている中の発展クラスです。生徒数は9人。習熟度別や少人数の編成と指導の難しさはこの会でも以前扱ったことがありますが、今回の授業は発展クラスということもあったのでしょうか、非常に落ち着いた雰囲気の中で活発に進められており、少人数の利点を生かしているといえます。生徒にとっては、密度の濃い充実した50分間だったと思います。

もう一つ特筆すべきは、壽原先生の明るくパワフルな授業展開です。英語の使用も安定していて、生徒の元気な反応も自然に引き出されていました。さらに、文法用語も一部は英語を使うなど、非常に意欲的に取り組んでいる様子がうかがえます。

授業展開の中では、ペアで行う会話練習、教科書の内容についてのOral Introductionの理解度をチェックするワークシート学習、そして単語の発音や音読の練習と生徒がここに取り組む学習がちりばめられていますが、そのどれもが常に先生による確認と、全体の前での発表というステップで支えられており、やりっ放しになっていないところは非常によく考えられた指導手順だと思います。

協議の中から論点をいくつか紹介します。

・座席配置を工夫すると、さらに少人数の効果が望めるのではないか。この授業では普通の教室の前2列を使っていた。
・音読練習はどの授業でも大切で、今回もそれなりの時間が割かれているが、、授業のねらいと時間構成のバランス考えると、最後に時間不足のため宿題に回さなければならなかった、「メールに返信する」という学習をきちんと授業の中で行うためには、ここは黙読で内容理解にとどめてもいいのではないか。
・不定詞の扱いについては、「表現活動」として位置づけるのは、5時間程度の指導計画では難しくはないか。全ての単元(ユニット)に、同じように4観点を並べる必要もないし、内容(コンテンツ)から表現させることと、文型を指定して表現させることは別の学習だろう。今回は「メールに返信しすること」と「不定詞を盛り込むこと」の2つが要求されていた。
・表現の能力についての指導と評価は、かなり長いスパンで位置づけないと表面的なものになってしまう。多くの場合は、「条件の中で英語で表現しようとする(関心・意欲・態度)」を見ているに過ぎない。
・言えるようになったら、書けるようにする。読めるようになったら、書けるようにする。という姿勢は、いわゆる学力としての英語力の支えとして、重要である。今回の授業でも、書かせる場面が押さえてあったのはよいことだ。ただし、時間がかかる活動なので、授業の構成も見直した方がいいだろう。

・評価規準の中では、「コミュニケーションへの関心・意欲・態度」の観点で「間違いを恐れずに積極的に英語を使おうとしている」という規準があげられているが、本課の規準としては表現が大ざっぱすぎる。具体的に場面、内容、分量などの要素を指摘しなければ、安定した評価は難しい。特に少人数編成の授業では同じ単元を同時に数名の教員が教えることになるのだから、この点はさらに重要になる。具体的な項目を立てることで、規準・基準の両面から、指導の共有が図られる。英語科の教員はこの作業を通して共通理解を図るべきだ。

少人数授業はこれまでにいくつか見てきましたが、「こんな雰囲気で進められるならぜひ取り組んでみたい。」と思わせる授業にやっと巡り会ったように思います。悪条件を嘆くのは簡単ですが、地道に取り組んで成果を上げていくことの力強さに、大いに励まされました。この研究会では雪の日もありましたが、今回は急な夕立、雷でした。授業研は(全天候)対応の協議会です。こうなればもう何でもこいという気分ですね。ミサイル以外なら。(^_^)v(文責:杉本 薫@東陽中学校)

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