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第112回授業研究会

2006年 3月11日(土) 午後2時から

会場は、江東区立東陽中学校。

テーマ 「授業を見直そう」 ビデオによる授業研究(7)


第112回研究会は、春を感じさせる陽気の中、11名の参加者で実施されました。最近のこの会の特徴と言えるかも知れませんが、都内の中学校の先生、東京外の中学校の先生、盲学校の先生、教師1年目の方、そして教育実習を控えた大学生など多種多様な背景を持つ参加者が集まりました。様々な角度から英語教育を見直すいい機会になっているようです。

今回の授業は、大江あやみ先生(墨田区立竪川中学校)に公開していただきました。

「教師というこの職につき早9か月目が過ぎようとしています。日々緊張、不安、驚きの連続ですが、素直な子ども達に囲まれ、またいろいろな方々に助けられながら、なんとか今日ここまで来たように思います。授業は主に2年生を担当しています。曜日、時期によって、講師の先生方が入るTTだったり、少人数だったり、ALTの先生が来たりと、不安定な授業スケジュールなのが悩みです。
 私は、英語の授業では全員参加型の授業を目指しています。友達同士が協力し合って学ぶ機会をなるべく多く作ろうと試行錯誤の毎日です。ペアワークや生活班などで活動する機会を作っています。
 今意識している課題として、生徒に発話させる機会をもっと多く作りたいのですが、なかなか引き出すことができません。また、インタビュー形式の言語活動は成り立たせることに難しさを感じています。
 この機会に皆さんからご意見をもらって勉強したいと思います。」

授業は3月6日に撮影されたもので、2年生、教科書はNew Crownで、Lesson 9 "Landmines and Children"を扱っています。会の中で議論された主の論点を集約しておきます。

(1) 指導方法や授業の展開について
・非常に元気のいいクラスで、先生の発話に対して、教室のあちこちから大きな声での反応が飛んでくる。全体の流れとして、反応のある中で進んでいるので一見スムーズにできているようでもあるが、一人一人の生徒の練習や発言について確認することも重要か。全体の指導と個への指導を意識して繰り返すことも重要だ。
・英語で授業を進めることは、現在の英語教育では非常に重要な課題で、しっかりとこれを実践していることはすばらしい。生徒の反応を見極めながら余裕を持って指導することを目指して欲しい。
・文字と音声の出し方、内容の理解など指導事項が理解されたかという点について細かい確認が必要。教科書の内容については、生徒の準備もあって簡単な指導で通り過ぎてしまっている。教科書を素材として、独自に展開していく部分がもっとあっていい。教材研究や指導法の研究は、全ての教師にとって、強い意志で継続していかなければならないことだ。
・長先生から「指導の基本として、今指導していることが、何をねらっているのか」常に意識しておくこと。指導そのものがねらいになることはない。目標を意識していることで、効果的であったかどうか指導の見直しもできる。」

(2) 受動態の扱いの難しさ
・2年生のこの時期には受動態を扱う教科書が多いが、受動態自体は中学生には非常に難しい内容でもある。文型の変化で能動態から受動態へという説明で、簡単に済ませるわけにはいかない。受動態で言おうとした内容は受動態でなければ表せない必然性があるはずで、語感や前後の文脈などから感じ取る学習も必要だろう。ということは、受動態でなければ表現できない言い方、ニュアンス、つまりそう簡単に言いかえられない表現をきちんと教えておきたい。この教科書の内容では、... some of them are killed and many others are injured...のような部分がそれに当たるか。残酷な内容ではあるが。
・同様に過去分詞の指導についても、単に語形変化ではなく語感を大切にしたい。taken / made in / born など典型的なものを先に使うのも有効か。

(3) 話題の難しさ
・題材としては、カンボジアの地雷と子ども達の生活が扱われているが、教師としては背景知識と教材研究は重要だろう。文化的な知識も評価の観点には含まれるが、英語として単純に知識を増やすためだけの時間はもはや無い。扱い方にはいろいろあるのかも知れないが、少なくともこのような題材にきちんと正対する姿勢は教室で示すことが重要だ。


(^-^)教師1年目の授業を見て、自分自身の昔の姿を思い出そうと目をつむってみました。28年前(!?)の記憶を探っても、残念ながらはっきりとは覚えていません。しかし、このように英語をきちんと使って、指導の段階をひとつずつふまえて授業を構成していこうという姿勢は無かったように思います。それが、生徒の英語での反応にも現れています。まして、この時期に自分の授業を、ビデオで、先輩の先生方と一緒に見ながら話し合う(!!)という研修機会は、当時の僕には想像もつかなかったことです。28年前の自分の授業をビジュアルで思い出せないはずですし、改善の試みがあったとしても、自分の思いこみから抜け出すのに手間取ってもおかしくありません。時間を無駄にしたかなという反省は、年齢のなせる技でしょうか。

これから多くの新しい先生達が現場に登場するはずです。今回の授業研究は教師の研修姿勢としてひとつのお手本と言えるでしょう。そして、こういう姿勢を見せつけられると、僕らもまだ頑張らなければいけないなとつくづく思います。

それにしても、大江先生の28年後の授業を見たいなあとは思うものの、僕の残りの人生ではちょっと間に合わないかな。やっぱり(^-^)(2006/03/12文責:杉本 薫@東陽中学校)

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