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第111回授業研究会

2006年 1月21日(土) 午後2時から

会場は、江東区立東陽中学校。

テーマ 「授業を見直そう」 ビデオによる授業研究(6)


2006年最初の会である第111回の研究会は、東京としては久しぶりのまとまった雪の中で行われました。積雪10cmは東京では立派なニュースになります。参加者の足が心配されましたが、13名の方々が頑張って雪道を踏みしめて来てくれました。まずは、ご苦労様でした。そして、ありがとうございました。

授業は、岩崎友紀子先生(江東区立第2南砂中学校)に授業の公開をお願いしました。

案内にも載せましたが、岩崎先生の自己紹介です。
 「初任校は、江戸川区立小松川第三中学校(4年間) 現在、二南中で3年目です。新英語教育研究会に参加し、多くの先輩方から「自己表現の実践」を学んで きました。その中で、中三の卒業前にキング牧師について学習した後に、「〜な人になりたい」という夢を 生徒一人ひとりに語らせた実践などを発表したことがあります。
 授業で心がけていること・大切にしていることは、「授業を通して仲間づくり」をすること、「心に残る教材の選択」をして生徒にインパクトを与えること、「音声によって表現する機会」を習慣化して習ったことを定着させることです。
 研究会で使う授業については、まだ、ビデオ撮りができていないので、内容について詳しくお伝えできませんが、「1年生のcanの導入」を予定しています。 冬休みにしっかりと内容を整理し、議論していただきたいこともしぼりたいと思っております。」

ビデオで紹介された授業は、研究会の前日撮影されたもので、上の紹介にあるように1年生のCanの導入を扱っています。使用教科書は授業実践の紹介されることが少ないColumbus 21であること、選択教科を外国人講師とのTeamTeaching形式で全学年1時間英語に当てていることなど江東区の英語事情の特殊性もあって、区内の学校からも4名参加していました。特に教科書の扱い方については、いくつかの議論がありました。会の中での主な議論を列挙しておきます。

・canの持ついくつかの意味についてきちんと整理しておく必要がある。今回の例では、第1時間目の導入時には、「〜できる」という能力を表す用法で練習してあるが、教科書の中に出てくるcanは、サッカーの試合開始後にスタンドに到着した両親が選手である息子を捜しながらCan yousee him? No-Yesと応答するもので、能力ではなく「可能であるかどうか」を表すものになっている。ここで安易に「見える」と日本語を与えてしまってよいか。
・canについては、練習時には状況と意味を限定して「能力」を表す用法で使われることが多いが、テキストには異なる使い方が時間をずらして出てくることもある。そのタイミングを捉えて、多様な使い方があることを教えるとよい。
・助動詞、意味は「〜できる」という文型上のシラバスから脱却して指導計画を立てないと、混乱を引き起こす恐れもあるだろう。この点については、教科書に頼りすぎてはいけない。教師の姿勢として、十分に意識して指導の手順を組み立てることが重要ではないか。
・授業の最初に行っている月の名前の練習で誕生日を聞きながらの活動は話題の選択という視点で面白い。うまく情報を集めて準備しておくと、生徒の関心を引き出しながら語いの指導ができるだろう。
・音読の指導では、音のリンクやリダクションなどにも触れながら進めていたが、実際に読ませる練習においては、ひとつひとつの練習の中で目指すべき目標を段階的に示していくとより分かりやすいだろう。
・日本語による意味の与え方についても、どこに重点を置くかで変わってくる。一文ずつの訳が必要なのか、全体の意味をつかむことが必要なのか、見極めたい。
・音読の中での文の区切り方の指導については、3つの要素がある。sense group / eye span / breth groupでそれぞれ練習が必要だが、特にeye spanは訓練の対象として効果が出やすい。1年生ではどの長さまで、3年生ではという具合に目標を立てて指導していくことが必要。
・他にもペアでの活動をするための指導の工夫などについても参加者からいくつかの実践例が示されました。学校選択制の中で中学校に来てから新たな人間関係を構築していくケースが増えているという現状からも必要な議論でした。ひとつひとつの活動のねらいをはっきり指導しておくこと、評価される部分は自分の努力している点であることなどをきちんと理解させることで、かなり前向きな雰囲気が期待できるのではないかという意見もありました。
・全体を通じて長先生からは、絶対評価の視点を理解することが授業の改善の基本であること。指導の目標をどこに置くか、それに沿った評価をすることが生徒の力を引き出すという、この研究会の立場を再確認することができました。また、教科書の話題では、教科書をそのまま教えるのではなく、取捨選択、場合によってはかなり思い切った切り捨ても必要になるという議論もあり、問われるべきは教師の姿勢であることを再認識することができました。

江東区内からの参加が増えたのは非常に嬉しいことでした。同じ教科書を使って、同じ指導体制の中で授業をしているという中での議論はとても有効です。これも授業の発表が区内近隣の学校からあったからです。岩崎先生ありがとうございました。授業研も全国規模になっていますが、このように近隣の地区の教育を盛り上げていくのも大切な課題ですね。皆さん、頑張りましょう。でもまずは「雪かき」かな。(2006/01/22文責:杉本 薫@東陽中学校)

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