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第108回授業研究会

2005年 7月 2日(土) 午後2時から

会場は、江東区立東陽中学校。

テーマ 「授業を見直そう」 ビデオによる授業研究(3)


ビデオによる授業研究シリーズの3回目は矢木美記子先生(板橋区立高島第3中学校)です。

このところ参加者が少なめでしたが、今回は25名、山形や名古屋の先生方、私立中学校や高校の先生方、さらに大学生の参加もあり、活発な会を開くことができました。

今回の授業について***矢木美記子先生から

*** 今回の授業は1年生の初期です。まだ生徒の名前を覚えながら、一人一人の力を探りながらの授業です。フォニックスを終えて、動詞の導入を毎回行っていま す。テレビなども使いながら、なるべく耳と目で英語に親しみ、楽しんでいく授業を心がけています。「1年生の初期にどのような授業展開をしていくか」「1 年生1学期のうちにつけておきたい力」など皆さんと意見を交わせればと思います。


まず矢木先生から、3時間の授業を2時間(教科書使用)と1時間(ALTとのTT、ただし別の講師が担当する)に分ける高島三中の特殊な設定が説明されました。このため、矢木先生は教科書を週2時間で終わらせる必要があります。これは非常に大きな問題を含んでおり、今後対策を打たなければならない最優先課題でもあります。今回の授業でも、充分な言語活動ができない、教科書をひととおりカバーするのに非常に焦った展開場面があったなどの弊害が指摘されました。

研究会では、授業を前半と後半に分けて、矢木先生の説明を聞きながらビデオを見ました。その後4つのグループに分かれてそれぞれの場面について意見交換、最後にグループの協議事項を代表の方に発表してもらう。今回は長先生の指導を受けている武蔵野大学の生徒にお願いしました。さらに全体で指摘のあった事項を中心に協議。という方法で進めましたが、非常に活発な協議になりました。これも長先生の大学での指導方法の応用です。大学生のみなさん、ご苦労様でした。

全体を通じて協議会で話題になった点をいくつかあげておきます。

(1)まず、矢木先生のてきぱきした指導の進め方に感嘆の声が上がりました。英語もはっきりしていて、生徒もよく着いてきています。いつも長先生が指摘しているフラッシュカード、音読指導、全体の練習と個々の生徒の練習のバランス、絵を使ったOral Introductionなどそれぞれがきちんと授業の中に配置されていることは、もうそれだけでも授業実践としてはすばらしいものです。教師6年目ということを考えると、これらの重みはさらに増してきます。

(2)指導内容がふんだんに用意されており、活気はあるのですが、充分な定着をねらったときには、もう少し時間をかけて段階的に指導していくべきところもあります。特に言語活動が少なく、教科書の本文を追いかけるだけでかなりのスピードと体力を要しています。これは、前述の通り授業の持ち方に課題があります。前半の教科書外の学習を整理することも提案されました。

(3)教科書を暗唱させる学習が最後の方でありました。生徒はよく対応していましたが、ここでは暗唱させることで英語の音調が失われている点が指摘されました。音読練習中も少しその傾向があったので、英語らしい音声の指導については、もう少し手をかける必要があります。

長先生の言葉を借りれば、教師は生徒に「暗唱しなさい」と言わずに、いつの間にか暗唱させてしまうような指導を心がける必要がある。いきなり暗唱しようとすると、覚えることばかり気になって、どうしても発音や音調についての意識が薄くなってしまう。ということです。

これは、評価規準をどこに置くかという視点からも考えなければならない点です。今回は暗唱することについて「コミュニケーションへの関心・意欲・態度」の観点の「間違いをおそれず、英語を使って話す」というところに重点があったので、とりあえず人前ではっきり暗唱できれOKでした。しかし、これは将来のある段階では、「英語の音調を意識して」というような規準を持つ「表現の能力」への展開も充分に想定される学習ですから、そういう学習に進んだときに障害になっては困ります。そうすると、「間違いをおそれず…」に軸足を置きつつも同時に「表現の能力」への展開を見据えて、というスタンスが必要になります。いつ、どの段階で、どのような方法で、の全てが教師の指導にゆだねられていますから、その見通しを持てるのは指導している教師だけです。重荷に感じるかやりがいを感じて取り組めるかは我々次第ですね。(^-^)

最後になりますが、矢木先生は授業研究会には採用前の大学生の頃から参加しています。都全体で英語科の新規採用が10名程度しかなかった時に教員生活をスタートしているというキャリアも立派です。前回授業を見せていただいた鈴木 悟先生(港区立港南中)も同期の採用で、ともに授業研から生まれた教師であることは、研究会としてもとても嬉しいことです。(^o^)さらに、今後の活躍に期待したいと思います。
(文責:杉本 薫@東陽中学校)



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