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 第145回授業研究会

ビデオによる授業研究

 2011年9月17日(土)午後2時から

 
 

第145回授業研究会…ビデオによる授業研究(34)は、参加者約20名で実施しました。授業は大屋剛先生(世田谷区立烏山中学校)です。研究会の記録はここしばらくは杉本@両国附属中がほとんど一人でまとめていましたが、研究会創立21年目を迎えて、これからはいろいろな方法をとっていこうと考えています。今回は、授業を提供していただいた大屋剛先生ご自身のレポートという形を取ってみます。


まず、大屋先生の自己紹介です。研究会開催の案内にも載せたものです。

『大屋 剛(おおや つよし)です。企業に4年間勤めた後、台東区立下谷中学校で 産育代替教諭としてスタートしました。墨田区、目黒区、千代田区、練馬区立中 学校に勤務の後、都立大泉高校附属中学校の開設準備を2年間、そして開校して から一年間だけ授業をし、今年の春に世田谷区立烏山中学校に異動しました。現 在、中1の担任と授業を担当しています。北海道の札幌生まれですが、5歳から ずっと東京にいます。学生時代の専門はドイツ文学(卒論はゲーテ)でした。音楽 や演劇(英語劇も)が大好きです。

◎今回の授業について
 世田谷区中学校研究会の英語部会で、6月1日に行った授業のビデオです。この時の授業のテーマが2つありました。
(1)「4技能を統合的に活用できるコミュニケーション能力」を育成する指導と評 価の工夫
(2)小学校英語活動から中学校英語科指導への円滑な接続の工夫
ですから、テーマを意識した授業の組み立てになっています。
中学1年生です。入学して2ヶ月に満たない頃です。私が担任しているクラスで はないのですが、大変素直に反応してくれるクラスでした。使用教科書は、 TOTAL ENGLISH 1、Lesson 2 – A / I have two dogs. 名詞の複数形の導入を メインとして扱いました。私にとってTOTALは初めて使う教科書で、戸惑いがあ りました。

授業の中では基本的な事柄を、飽きさせないように工夫しつつ繰り返し行い、定 着をはかっています。また、テンポの良い授業を心掛けています。しかし、一つ 一つの活動が細切れで有機的に繋げる事の難しさを感じています。教科書本文の 扱いについては、今回の授業の中では大雑把過ぎたと感じました。当日はかなり 緊張していて、落ち着きに欠ける点もありました。都立の中高一貫校の開設準備 室勤務の時は丸2年間授業を行っておらず、初年度の中1は、いつも20人の少人 数でパソコンを活用して授業を行っていました。そして今再び区立中に戻り、思 うことは、授業の基本の大切さです。授業の基本はどこへいっても変わらないと 感じています。』
 
次に、研究会終了後に大屋先生にお願いしてまとめていただいた「研究会を終えて…自評レポート」です。
自分の授業を、ビデオを使い、活動のひとつひとつまできちんと複数の目で分析したのは今回が初めてでした。ひとりでは気づかないこともたくさんあり、大変勉強になりました。痛切に感じたのは、ひとつひとつの指導に理論的な裏付けが欠けていたことでした。誰かの指導方法を自分の解釈で組み合わせて形にしていた部分がはっきりと見えました。

・始まりの挨拶、日付を聞く意味と黒板に書く場所 … 板書計画がなかった点が露呈しました。

・ビンゴのやり方にもまだまだ変化が持たせられること … いつも同じやり方にこだわる必要はないと思いました。

・たてよこドリルのやり方、リズムマシーンの使う場所 … やり方を固定化すると、不都合や無駄、時に混乱を引き起こすことを悟りました。

・Oral Introduction や Oral Interaction の意味と指導方法 … 私の不勉強による誤解から指導をしていました。

・Speaking Activity の 指導方法と生徒の指名の仕方、時間計測の仕方 … 工夫の余地が大いにありました。

・Rhythm Chant の意味と行う場所 … やはりwarm-upにすべきでした。

忙しい日常に流されずに、毎回の授業の準備を怠らないこと。プロとして必要な事を、きちんと学んでいくこと。とりわけ指導方法と評価の整合性について学ぶ必要があります。また、自らの基礎訓練を継続すること(かつて行っていた、演劇の基礎訓練を思い出しました)。生徒への愛情、自分の個性や遊び心も大切にしたい。

今からでも、少しずつ皆さんに追いついて行こうと思いました。皆さん、今日は本当にありがとうございました。  大屋 剛


以下は杉本@両国附属中の感想です。
ビデオを観て、生徒の学習の姿勢が意欲的で、先生の指導をしっかり受け入れようと顔を上げていることが印象に残りました。この雰囲気を効果的に生かしていくには、生徒の発話や練習量をどんどん増やしていくことが重要になりそうです。
コミュニケーション能力の育成を目標にする以上、それを裏付ける指導の計画と授業の展開が要求されます。それは例えばいわゆる言語活動であり、教科書の言葉や表現を元にした指導です。さらにここに、教材の題材としての位置づけが関わってきます。それらを共通して支えるのは、学習場面の中の豊富な英語の発話や発信の量です。そしてその「量」と「質」をどう確保して、コントロールしていくかが授業の指導者の重要な仕事です。

大屋先生ありがとうございました。この日に紹介された1年生たちの来年、再来年の姿をまだ授業研でぜひ見せて下さい。   (杉本@両国附属中)

 

    

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