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 第143回授業研究会

ビデオによる授業研究(33)

 2011年5月14日(土)午後2時から

 
 

第142回授業研究会・ビデオによる授業研究(33)は田村渓(たむらけい)先生(東京都西多摩郡日の出町立大久野中学校)の授業を使って行いました。田村先生は、この研究会の創設者である長勝彦先生の武蔵野大学での最後の教え子です。昨年東京都に採用されて、2年目になります。

参加者は30名、渡欧今日教師道場の新旧助言者が何人もそろって、田村先生にエールを送りました。

さて、本人の言葉にあるように、授業の基本的な部分での助言・アドバイスがいくつか話し合われたので、記録として紹介しておきます。まとめてみて気が付きましたが、これは、新人・ベテランを問わず自己点検の項目としては、非常に重要なものばかりです。僕自身も含めて、会では思いついたことがどんどんあげていましたが、参加者全員にとってこれは重要な復習の宿題です。次回テストしましょうか(^-^)
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・授業の最初の5分間は、その授業で生徒に付けさせたい力に向けてのwarm upであるという観点から、この授業の最初の単語のテストはやり方を工夫して時間短縮はできないか。また、単語を単語のまま問うことは、その後の活動への布石になるだろうか。などの指摘がありました。授業の目標に「表現する」という言葉を設定している以上、そこに向けてのスタートがあるべきです。言語活動を意識したwarm upが必要です。

・動詞の活用表は新教材としてこの段階で暗唱させることがよいのだろうか。使えるようになった語いを整理するための表と、これから使うことを意識しての暗唱は別の作業で、生徒にとってその2者の接点はそう簡単には見えてこない。

・後の音読練習も含めて、口頭練習の量が少ない。声が出にくくなる一番の要因かもしれない。

・説明が多く、練習が少ない。文型についても、文字による説明が多い。文法用語も多い。先生は説明することで安心するが、生徒はどうだろうか。まずしっかり練習を積ませて、言葉の感触がある程度できてきてから、分かりやすく説明することが必要だろう。

・英語での授業展開を心がけていることは素晴らしい。しかし、そこを補うような日本語による説明も多い。スクリプトを自分で描いたり、ビデオの分析をして、そのバランスを見直すとよいだろう。

・パワーポイントなどビジュアルを駆使してのプレゼン効果をねらっている点はとても意欲的で、生徒の注目している様子がうかがえる。情報量を整理して、生徒がどこに注目しているかを把握するとさらに効果的だ。素材の選択はユニークでよいが、一般的に使われる表現も導入しておかないと、定着は遠い。

・授業の目標をもう一度整理することが重要だ。それは具体的なものでなければ、具体的な指導方法と結びついているかどうかが見極めにくくなる。生徒にとって分かりやすい授業は、今自分がやっていることが、何を目指しているのか、今がどういう段階で、次に来るべき練習はどういうものなのか、それが自然に理解できるということだ。そこには迷いも、戸惑いもほとんどなく、授業の流れに安心して身を任せられる。教師側のキーワードは、「単元の目標」「本時の目標」「評価規準」、さらには「年間指導・評価計画」にあるはず。それらを並べて検討するべきだ。

・前記の項目は授業規律や生徒指導も含めて、言えることでもある。「どのような生徒を育てたいか」、それは授業のある場面ではどのような行動に表われるべきなのか。
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この日は、長先生も元気に会に復帰されていましたが、心なしか議論の場面ではお静かでした。会の冒頭先生が語った言葉は、「今日は教師になった自分の息子が初めての授業参観でどんな姿を見せるのか心配になって、こっそり駆けつけてしまった親の心境です。」

生徒を育てる教師と、その教師を育てる教師とをめぐる様々な思いのやりとりは、この会の根底にある理念と通じます。東京教師道場の関係者にとっても、決意を新たにさせる機会になりました。僕自身が教師道場で関わった先生方も何人か見えていました。こういう「思い」はやはり継続で力になっていくと信じています。

さて、ここで田村先生の一番最初の自己紹介の言葉に戻ってみましょう。
『私は現在23歳、今年4月に教員2年目に突入したばかりの 新米教師です。全校生徒124名という小規模の学校で、昨年度は1〜3年生の授業を必死になりながら考えていました。今年度は初の担任を任されたので、まだまだ厳しい教師修行は始まったばかりだと感じています。
』 

一度始まったことは、もう止まることなく毎日続いていきます。そしていつか、きちんとした形でまとまっていくはずです。その時大切なのは、目的地がしっかり見えていること。そして、その視線がブレないことです。田村先生は学生の頃から研究会に参加していましたが、今こそあらためて『英語授業研究会へようこそ』ですね。新年度の最初は、新たに参加された方も多かったようです。みなさん、一人でやりきれないことは、一緒にネットワークで支え合っていきましょう。田村先生お疲れ様でした。長先生はもっとお疲れ様でした。(^-^) 文責:杉本 薫@両国附属中
 

 

    

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