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 第140回授業研究会

ビデオによる授業研究(31)

 2010年11月20日(土) 午後2時から
  

第140回授業研究会(ビデオによる授業研究(31))は、30名の参加で行われました。授業者は、小川 登子先生(葛飾区立葛美中学校)です。事前の案内でも紹介しましたが、小川先生は2011/2/23の中英研研究部の研究発表時に授業公開を予定されています。 
 
最初に小川先生から自己紹介、学校や生徒の状況、英語の授業のこれまでの展開、現在取り組んでいることなどをお話ししていただきました。生徒指導や生活指導についてはいろいろな情報が交錯していますが、授業の準備や教材研究に専念することが非常に難しいということがよく分かりました。その中で、それに甘んじることなく、いくつかの挑戦を含めて実践を進めていく小川先生の取り組みの素晴らしさは、この日の参加者全員のお土産になりました。ぜひ、2/23の中英研研究部の研究発表会には直接参加されることをおすすめします。いくつかこの日の議論で印象に残ったものを整理しておきます。
 
・学習の到達度だけを見れば英語が苦手かなと思われる生徒もいるようですが、ビデオで見る限り生徒たちは先生の指導に非常によく反応しています。恥ずかしがらずに大きな声を出す生徒もいます。教科書の内容を黒板に貼られた絵から再現していくReproductionという活動では、全部の生徒がペアで発表をこなしました。時間配分の計画から考えると、ここで時間をかけすぎたことが後の新しい内容を練習する時間を圧迫してしまっています。これはねらいと段階を踏まえて再検討の余地があります。一方、時間をかけてでも全員を前に出すことで支えられている生徒もいるはずなので、ジレンマはありますが、「悩み」があるということは、工夫の余地もあるということでしょう。

・新教材の導入がシンプルにT-Sのやりとりの中の説明で終わってしまったのは、もう少し「練習」が必要ではなかったかという指摘がありました。ペアワークのようにS-Sの会話練習を加えることも提案されました。

・Last sentence dictationは前時の復習とReproductionの活動の仕上げで行われていましたが、これもやや難しかったようです。テスト直前の音読練習、黙読練習などテキストを目と耳に焼き付けることと一体化していくとさらに効果的かと思います。この活動を「関心・意欲・態度」という評価の観点に結びつけていくこと、言い換えると「学習の姿勢」の指導場面であると考えると、「ほとんどの生徒が問題なくできる」という状況でなければ生きてきません。これもSmall Stepというキーワードから見なすことができそうです。

・授業のどの段階で、教師の説明がどの程度行われるべきかという議論もありました。特に音読練習との関わりからです。教科書の内容にしろ、新文型の内容にしろ、「説明されれば分かる」ということと、「練習しながら慣れていく」ということでは浸透の度合いが違うように思われます。練習の組み立てと合わせて作戦を練るといい点でしょう。

・生徒にとってのSmall Stepという視点は常に有効です。例えば、Reproductionの活動で黒板前でふたりの生徒が立つ位置と発話のタイミング、顔を向ける方向など細かい部分を指導することは、気をつけることが増えるという意味では生徒の負担を増すようにも見えますが、練習時間を保証すれば、返って迷わず動けるようになるはずです。生徒の許容量を信じていいかもしれません。また、英語の授業用の教室が確保できていて、少人数の指導体制があるということも追い風です。机の配置を黒板に対して裾広がりのV字型にしているのも大きな工夫です。もう一歩踏み込んで、これはまさに文字通りの意味なのですが、その広がった空間の中で生徒の目の前に迫っていくというアプローチの可能なはずです。「何でもあり」とは言えませんが、「規制観念にこだわらない」という視点も大切にしたいものです。授業は「前から」や「上から」だけではないかも知れません。

・小川先生の笑顔と、くじけず執拗に練習を繰り返していく姿勢は間違いなく生徒を育てています。この日の授業で、参加者は非常に多くのことを学びました。このような指導が必要なのは葛美中学校の生徒だけではないという当たり前のことに気づいて、来週の自分の授業に思いを馳せる、授業研究会を続けていてよかったと思う瞬間です。

・授業研究会では2月23日の公開授業の記録ビデオを3月の使う予定です。日程はHPで確認して下さい。授業当日はLiveで、授業研ではさらに踏み込んだ協議会をという計画です。(文責:杉本 薫@両国附属中)

 

    

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