直線上に配置

 第139回授業研究会

ビデオによる授業研究(30)

 2010年10月2日(土) 午後2時から


第139回授業研究会は、20名の参加者でビデオによる授業研究(30)を行いました。今回の授業者は、宮崎太樹先生(あきる野市立秋多中学校)です。宮崎先生はこの研究会が東陽中学校で行われていた頃に一度授業を提供してもらっています。第106回(2005/3.12)で、現在シリーズで続いている宇「ビデオによる授業研究」の第1回目でした。5年間の実践を積んでの授業研への再登場ということです。長勝彦先生がまだ体調不十分で会には参加できませんでしたが、授業研の古くからのメンバーが集まってくれて、活発な議論が交わされました。

宮崎先生は、この会だけでなくELECなど様々な研究会でも精力的に実践研究をされています。そのバイタリティーは授業にも現れています。生徒をよく指導のペースに巻き込んで自信を持たせている様子がよくうかがえました。

会で話題になったことをいくつか記録しておきます。

・warmUPでのDifinitionsは数分間の帯活動ですが、使用している教材(Talk & Talk light)を含めて、そのねらいが明確でないという指摘がありました。ペアで活動はしているものの、何オーナー会って、どういう力が付くのか、不明確であるということです。これは、学習者が理解できないと、学習の動機も意欲も弱めてしまうのではないかという点で重要な視点です。「何となくこなしている」状態から「目標を持って取り組んでいる」という段階に進めるためには、教材の精選が必要です。

・リーディング、特に音読についてはやはり多くの先生方が重要性を認めているのでしょう、いろいろな指摘がありました。復習として、行われたピクチャーカードを見て本文の内容について質問に応える学習は、質問そのものをリピートして、返答させるという面白いやり方でした。その際の質問も、人称を変えて3人称に変換して応えることを要求しているのでかなり高度な練習でした。本文の音読と理解が大前提ですから、うまくできない時にはそこまで戻った練習が必要でしょう。

・Last sentence dictationも前時の内容から出されているので、記憶に新しいという利点もありますが、一方で半年後にできるか?という視点もあります。音読練習と合わせて考えるなら、ここのスパンを長くとって、音読練習を数ヶ月後や数年後まで継続させるという行き方もあるでしょう。

・Oral Introductionも議論が集中したところです。ここでもピクチャーカードを使って絵を説明させることから内容に迫っていきます。生徒は活発に応えていました。続けて先生が詳しく説明していきます。ターゲットになる表現のところでは、この授業の前日に帰ってきたばかりの修学旅行の話なども入れて英文を対比させながら、スピーディーに進められました。ここでは、内容をどこまで紹介するか、特に新出語句をどう扱うかという議論が出ました。教科書の本文を全部使いながら説明するとなると、3年生の1ページの分量はかなり多くなっているので、難しくなります。次に読む学習段階があるので、音声に出したり聴いたりする前に、だいたいの内容を分からせるということが大切ですそこを意識して生徒の状況に合わせて決めていくことになるのでしょうか。

・音読練習では、新出語句の練習のタイミング、板書の内容とノートの取らせ方、すでに学習している後置修飾の説明、音読の回数、overlapping、read and look up、shadowingなどの発展的な練習のタイミングとバランス、そして、それらの練習の学習のねらいをどう生徒に分からせるか、指導者がどのようにそれを考えているかなどの議論が交わされました。

・全体を通して、個人に当てて発言させる機会が少ないのでは、個々の活動のねらいを学習者がよく分かって取り組んでいるか、という指摘もありました。

宮崎先生の取り組みは非常に意欲的で授業の進め方もパワフルです。それだけに今日のような議論はとても大切です。そしてそれは授業研の参加者にとってもやはり大切な問題提起になっています。ここで話し合われたことが授業の提供者である宮崎先生にとってヒントを提供しつつ、よい刺激になることを期待します。そして、それは参加者のそれぞれの授業改善にも反映されていくということが、この研究会を20年間続けることができた秘密です。宮崎先生、2度目の授業発表ありがとうございました。次はまた5年後に。このペースなら退職までにはあと何回!? (^-^) (記録文責:杉本@両国附属中)



直線上に配置
webmaster@eigo.org
Copyright © 2008 Eigo Jugyou Kenkyukai Ryogoku-Tsukuda-Toyo All rights reserved.