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 第136回授業研究会

 ビデオによる授業研究 [28]

 2010年3月13日(土) 東京都立両国高等学校附属中学校
 

毎年3月の研究会は、東京都中学校英語教育研究会研究部の公開授業の記録ビデオをつかっています。今年は2月23日の品川区立小中一貫校日野学園で行わた岡崎伸一先生の授業のビデオを使いました。研究部の大会は毎年行われている規模も大きなものなので反響も大きく、この授業研の参加者も35名と盛況でした。そのうち約半数は、当日の授業を直接参観された方々です。また、高知県や岡山県からの参加者もありました。

当日は、広い会場での授業だったため、指導している先生や発表する生徒の声が充分聞こえなかったという声があったそうですが、このビデオでは、先生にワイヤレスマイクを着けてもらっているので、指導の過程ははっきり聞き取れます。生徒のそばでささやくような声かけの様子も赤裸々に録音されているので、ワイヤレスマイクの威力を再認識することになりました。(^-^)

それでは、研究会での議論の一部を紹介します。

・授業開始のスモールトークは継続的に取り組まれている活動で、この日は昨日の家庭学習を話題にしていました。後で、取り上げる話題の布石にもなっていたようです。warm upとして考えると、一部の生徒しか声を出さないし、内容によっては答えそのものにどの程度重きをおくかという難しさもあるので、もう少し簡単な声だしや練習に徹した活動が欲しいという声がありました。

・復習は前時の内容の発表です。picture describingという活動で、生徒が前に出て教科書の絵の内容を説明するものです。これもずっと継続している活動です。基本的に英文を見ないで、教科書の内容を再現することができるというのが目標で、自己表現として自分の意見や感想なども加えるという負荷がかかっています。活動そのものは高度なことですが、継続しているので、この日も指名された3名の生徒は慣れた様子で取り組んでいました。発表後に発表のよい点を聴衆から指摘させるなどの工夫もあって、失敗を恐れずに取り組むという雰囲気がありました。

・長先生からも、このような地道な活動の積み重ねは重要である。音読の練習と併せて、教科書の内容レベルの表現活動を支える取り組みとしてぜひ推奨したいというお話がありました。

・課題としては、「キーワード」の分量と使い方、「絵」そのものの質や情報量、新出語句の扱い方などについての意見が出されました。

・授業の後半は、まず最上級の口頭練習ですが、ここでの問いかけに使われたsubjectsを話題にしたWhich is the most important of the five to you?というやりとりには違和感があるという意見もありました。

・続けて次のセクションのpicture dscribingを意識した新教材の導入と音読練習です。hydrogen / oxygen / electricity などの語いを含む内容なので、Oral Introductionは苦労しそうなセクションです。電子黒板で教科書の絵を提示しながら、一部を口頭練習して進められました。指導の計画では、すでに内容についてのスキーマの活性化と語い指導で一時間をかけています。同様に比較級・最上級の導入も一通りは行われています。

・研究会ではこの後の教科書の読み方についての議論が多く交わされました。ここでは、ふたつの英問を与えておいての黙読、答えの確認、新出語いの練習(word flash)、CDについてのrepeat、buzz reading、pair readingの手順で進められていました。指摘された点は、Oral Introductionの直後に黙読することは手順が違うのではないか、黙読の課題のふたつのQAは内容の理解として適切か、語いの練習量は十分か、音読はいきなりCDの後についてのリピートでよいか、先生の発音で指導する場面が必要ではないか、個人の読みの練習がなくてよいか、内容理解の点検が必要ではないか、本文の理解が充分だったか、などの点です。それぞれに質問と意見という形で議論が交わされました。

・これだけ大きな公開授業では、賛否合わせて反響も大きくなります。岡崎先生はこの研究会や長研でのレギュラーメンバーということもあって、率直な意見交換、そしてかなり突っ込んだ話ができました。それだけに、参加者には持ち帰ってもらった成果も大きかったと思います。指導の継続性がいい意味でよく見えた授業でした。この先の日野学園の英語指導の実践に新たな展開が期待されます。(文責:杉本 薫@両国附属中)


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