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 第134回授業研究会

 ビデオによる授業研究 [26]

 2009年11月14日(土) 午後2時
 
 

第134回英語授業研究会は、両国高等学校附属中学校で、ビデオを使った授業研究(26)を行いました。インフルエンザの猛威の中で、多くの学校で指導計画が大幅に変更されている状況でした。授業の提供者の我謝博史先生(町田市立金井中学校)の学校でも学級閉鎖が相次ぎ、この日に何とか間に合わせて持参してもらった授業のビデオは、何と研究会前日のものでした。参加者は20名。

授業は3年生、New Crown Lesson 8、疑問詞+to不定詞の単元です。当日の議論からいくつか紹介します。

・赴任一年目の3年生担任、しかもこれまでの指導が十分に行き届いていなかったという難しいスタートからわずか半年程度の授業風景ですが、先生の英語による指示や語りかけに対して、自然に英語で答え、反応している生徒たちの学習態度は落ち着いており、かなりの分量の練習や課題に、実に真面目に取り組んでいました。我謝先生の指導とそれに答える生徒の意欲が伺えます。授業の中で学習姿勢や態度など生徒指導の基本をしっかり押さえている点は、教師の姿勢として誰もが見習わなければならないことと言えます。

・生徒に発話や音読の練習をさせる時に教師の後に続くrepeatのパターンが多い。先生の後について発音するのは、慣れた生徒にとっては最も簡単なやり方なので、いろいろ手を変えていく必要があるのでは。例えば、Bingoのゲーム前の単語を読み上げる練習、たてよこドリルの目標分の練習など。

・生徒に配るENGLISH NOTESと呼べれるプリント(B4よこ型) は会話の例文、ドリル練習、基本文のポイント、口頭練習の後のwriting練習などを網羅したもので、毎時間用意しているとのこと。この日でNo.101になる。この分量のワークシートを毎時間配布、練習させて回収、点検して返している。これは継続的な学習の提供として、基礎学力の定着には大いに効果があるだろう。先生の労力も大変だと思われるが、ひとクラス数分で点検できるという我謝先生の言葉に、参加者からは驚きの声も。生徒の学習姿勢の指導はこういった継続性からも大いに刺激されているはずだ。

・Dictationは復習の内容とは言うものの、ややハードルが高い。指導目標に入れるからには、ほとんどの生徒ができる内容から積み重ねる必要がある。1,2年生の教科書あたりを再利用するのはどうか。

・Bingoの後に必ず、ポイントを記録する地図を使った簡単な会話練習が入っている。Where are you now? / How long have you been there? / Where were you beforre that?など。段階を追ってうまく使えば生徒の発話量を増やしながら、基本的な表現を定着させることができるので、よい方法だ。

・新教材の導入では、Do you know how to read this kanji?というクイズを使って生徒を惹きつけていた。さらに生徒にクイズを作らせるなどすると、communicativeな言語仕様の場面に発展できるだろう。生徒に「話したい」という気持ちを持たせて発話させることがcommunicationを意識した言語活動の基本だ。

・パソコン、プロジェクター、リズムボックス、音楽CDなど多くの視聴覚機器を使って生徒を惹きつけながら、かなり細かい授業の展開にメリハリを付けている。生徒の練習量と発話機会を確保する点で非常に効果的だ。この研究会などの場で、さらに実践を持ち合って研究を深めるべき部分だろう。

・指導案の書き方、言語活動で使われる英語、Teacher Talkなど改善の課題は、参加者にとっても重要な視点で、今後の研究会などでさらに議論するべき内容だ。

この研究会の参加者は、今年新規採用でスタートした先生、教職を目指す大学生、来年度採用予定者などそれぞれに様々な問題意識を持っています。我謝先生の提供してくれた提案や議論は、ベテランの先生方を含めて、誰もに自分の授業の見直しのきっかけを与えてくれたと思います。インフルエンザに負けなくてよかった、と素直に喜べる一日でした。案内のメールには我謝先生のお名前にフリガナをふりましたが、正しい読み方は金井中の三年生の他には、この日の参加者だけが知っている秘密です。(^-^) [文責:杉本 薫@両国附属中]

 

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