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 第133回授業研究会

 ビデオによる授業研究 [25]

 2009年 9月 26日(土) 午後2時から
    東京都立両国高等学校附属中学校
 

第133回英語授業研究会は、約20名の参加でビデオを使った授業研究(25)を行いました。

授業の提供は江東区立第2大島中学校の白井靖子先生で、今回使用した授業は9/10に東京都教師道場の研修で行われた研究授業です。

昨日の協議の中からいくつかの論点・意見を紹介します。

・まず、白井先生の授業はほとんど全編英語で進められます。日本語の言葉や多少の説明はありますが、基本的に英語のリズムに身を任せる一時間であることは素晴らしい。関係代名詞など意図的に使っている部分もあって、準備には手間がかかっている様子もうかがえました。生徒もその流れの中で、よく先生の言動に注目して取り組もうとする意欲をにじませています。Teacher Talkについてはこれだけ下地があるのですから、この先授業の構成や展開と合わせて精度を高めていくことが課題になりそうです。

・warm upについてはいくつか意見が出ました。今回は修学旅行の話題に集中させることと授業の後半で行うペアワークへの準備としての位置づけから、京都や奈良の写真とpagoda / veranda / rock gardenなどの単語カードのマッチング、口頭練習を行いました。
・ペアワークへの準備としては、直後段階で行うことが別に用意されていたので、肝心のペアワークと直接結びつきにくくなっているのでは。
・新しい語いであるために、生徒が安心して発話しずらかったのではないか。授業の出だしにもう少し活発な音声を伴う活動があった方が、よかった。

・続けて行われた修学旅行の写真を使ったOral Introductionは"Kinkakuji is the temple that was built by Ashikaga Yoshimitsu."という今日のターゲットになる英文の提示を生徒とのinteractionを交えながらの展開になります。
・ここでも生徒の反応がやや自信なさそうであったことが指摘されました。英文そのものが難しかったのではないか。もっと単純なpattern practiceを行うなどでハードルを下げる手立てが必要か。

・さらに今日の中心的な言語活動であるペアワークが続きます。AB2種類の情報を与えられたペアが、会話を通じて情報を交換して、英文を完成させるものです。

・この日の研究会の中心的な議論は、やはりこの教材の扱い方についてです。教科書との関連(Columbus)は長先生からもアドバイスがありました。文型の練習や説明を先にやっておいてから教科書へという流れが本当に有効かどうかというものです。教科書の中での英語に近づいておいてから、文型の説明に入ってはどうかという具体的なアプローチ案も提示されました。関係代名詞だけにスポットを当てるのではなく、本文に使われている現在完了や比較級などの復習材料を盛り込みながら、状況と登場人物に注目させた理解をこのユニットの取りかかりとする。特徴のある教科書なので使いこなしもの難しさは以前から話題になっているところです。江東区の先生方には切実な課題ですね。

・「文法が分かれば英語を使えるようになる」という考え方そのものについても議論が交わされました。英語教師がどこまで柔軟に考え、対応できるかが試されているという指摘もありました。言葉の理解は、使われている言葉とその内容が無理なく生徒の記憶に残っていくこと、自分で復習できることなどは重要な観点がいくつか見えてきたようです。

白井先生には教師道場での協議会、この授業研での協議会と同じ授業をメンバーの異なる2つの場で提供してもらったことになります。両方に参加したのは僕と白井先生の二人だけです。二重に指摘を受けたり、同じ説明をくり返すなど、これは非常に勇気のいることで、この取り組みの姿勢には文句なく頭が下がります。授業者にとっても、参加者にとって実のある協議会ができました。今年の秋の収穫はさらに期待できそうですね。(文責:杉本 薫@両国附属中)


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