直線上に配置

 第130回授業研究会
 ビデオによる授業研究 [23]
 2009年 3月 14日(土) 午後2時
  

平成20年度最後の英語授業研究会は、卒業式を目前に控えた3月14日に行われました。2月23日の東京都中英研研究部の研究発表に公開授業を使っての「ビデオによる授業研究(23)」です。朝から雨風が強く、電車も一時止まるような悪条件でしたが、授業者の谷口弘美先生(東村山市立東村山第二中学校)をお迎えして、参加者も30名を越える充実した会になりました。

「谷口先生の授業は、非常に落ち着いた雰囲気ですすめられ、生徒の持っている資質と能力を実に自然に引き出していくものです。一つ一つの指導や声かけに、深い配慮とねらいがこめられており、まさに我々の目指す授業の姿のひとつである。」参加者の声をまとめると、まずこのように言えそうです。もう少し具体的な議論をいくつか紹介しておきます。

あいさつ、ウォームアップはペアでのQAで、短い時間に非常に多くのやりとりが交わされます。QAのシートが用意されており、それを使っての学習です。少しずつ文章の量を増やしたり、相手が同じであっても、What did you do last night? / What do you want to eat now? などのように何回でも繰り返して使えるような質問を仕掛けるなどの工夫は、まさに無理なく少しずつ、相手の返答に注目しながらより長い発話を促す指導のsmall stepを示しています。「コミュニケーションを意識した学習のステップ」のお手本と言えます。

続く「復習」Reviewのステージでは、前時までの内容をピクチャーカードを用いたOral Interactionの手法で生徒から引き出していきます。内容の豊富なレッスンなので、扱う情報量はかなり多いのですが、リズミカルなテンポで短時間でねらいを達成しています。続く音読練習もペアでの練習など変化を交えてかなりの練習量を確保していました。長めの英文もよく読めていたのは、指導の成果でしょう。

長先生からも音読指導の大切さ、その手順の大切さについてのお話しがありました。意図的に手順を踏んで指導していかないと、長い英文を読めるようにはならないということです。

復習から学習は新しいステップに入っていきます。ペアでのQAの形で教科書の内容を再現していく活動です。ピクチャーカードを指さしながら、QAで内容を確認していきます。最後には言葉を自分たちで付け加えるスペースもあり、発展的な取り組みも巧妙に隠されていました。発表はボランティアで、自信のなさそうな生徒もいましたが、積極性や一生懸命やろうとする意欲はよく感じられます。誰が出てきてもよく聴くクラスの雰囲気も発話を促すものだと思います。先生の配慮が行き届いた声かけに、生徒はよく応えていました。「教師の気配りで生徒は動く」とは、長先生の指摘です。

最後に題材である地雷についての思いを短い英文で書き留める学習です。ここでは、作業のBGMとして事前に紹介されていた音楽Zero Landmineを使って雰囲気を作っていました。この授業の後の時間には、地雷除去をテーマとしたテレビ番組のビデオ鑑賞でさらに生徒の思いを深めていったと報告されています。授業で使ったポスターも直接題材に登場する方や団体にアクセスして手に入れたそうで、教材研究、題材へのアプローチにも見習うことがあります。

「ねらいをしっかり持って、そこへ至るsmall stepを確実に用意すること」、「生徒との信頼関係の高さを感じさせる雰囲気」など参加者からの指摘は見事にこの授業をとらえていたと思います。まさに「絶賛」という言葉で紹介するべき授業だったと思います。2月にライブで参観したみなさんにとっても、今回の授業研で始めてみた方にとっても、もちろん両方で深めた方にとっても、有意義な授業公開でした。

こういうコメントは滅多に書けるものではありませんね。雨にも風にも負けない研究会でよかったです(^-^)文責:杉本 薫@両国附属中

 

直線上に配置
webmaster@eigo.org
Copyright © 2008 Eigo Jugyou Kenkyukai Ryogoku-Tsukuda-Toyo All rights reserved.