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第115回授業研究会

2006年 9月30日(土) 午後2時から

会場は、江東区立東陽中学校。

テーマ 「授業を見直そう」 ビデオによる授業研究(10)


第115回の研究会の授業者は永松朋美先生(江東区立第三砂町中学校)です。以下は案内にも載せた永松先生の自己紹介です。

 「江東区立第三砂町中学校の永松朋美です。今年10年経験者研修を受けていますが、初任校が八丈島の心障学級だったので、英語教師生活は2校目の板橋区立高島第二中学校の6年間を入れて、7年目になります。
 正直に言うと、英語を教えるようになった最初の3年間は、担任業務や部活動指導をどうにかやっていくことに必死で、授業はいつも一番後回しになってしまっていました。そんなときに、当時は佃中学校で行われていた授業研に出会いました。現在の私があるのは、授業研のおかげと言っても過言ではありません。
 砂中には、今年度異動し、2年生の配属になりました。まずクラスの生徒多くに言われたことが「僕、英語できない。」「わたし、英語嫌い。」という言葉。今の目標は、英語が苦手、嫌いと思っている生徒に、少しでも「楽しい」「わかる」「話せるようになりたい」という気持ちを持ってもらえるようにすることです。4月には、できるだけ授業の中で英語を聞く機会を多くしようと思っていましたが、「僕は日本人です。日本語で話してください。」と言う生徒に、少しショックを受けつつも、少しずつわかるようになる、と信じて、あきらめず指導をしています。
 今回ビデオを録画することになるのは、Columbus2 Unit5 の不定詞の形容詞的用法のところです。テンポの良い授業を心がけたいと思います。ご指導よろしくお願いします。」

参加者は16名、秋の行事が集中している日でしたが、今回も熱心な参加者に恵まれて充実した会になりました。

ビデオでみた授業は2年生で、この4月に赴任した学校で今年から教えている生徒です。自分でカメラをたてて撮影したそうで、実際にビデオを見てまず永松先生自身が驚いた発見があったそうです。意外な生徒がかなり後ろを向いていたこと、全体的に私語が騒がしかったことなど。自分で授業をしているときには気づかなかったり、目立った印象を持たなかったりすることが、ビデオにははっきり現れてしまうことの厳しさと面白さが再確認できました。もちろん、これをしっかり受けとめて改善しようというきっかけにしていくという意欲の裏付けが必要ですが。授業研究といえばちょっと大がかりな感じでためらってしまいそうですが、自分の授業をビデオで撮って、自分だけで見直していくというのも有効な方法ですね。

さて永松先生の授業のいいところは、何と言っても先生の明るさと情熱です。生徒はまだ英語の面白さを手探り中、自分たちの英語に自信が持てない、学習意欲も不安定、学習習慣も希薄、さらにビデオに撮られることにも慣れていない、などいくらでも悪条件はあるのですが、それをカバーして余りあるのが永松先生の指導姿勢です。長先生の言葉を借りると「生徒をしっかり受けとめて、情熱的に指導している先生の表情がすばらしい。」ということです。笑顔で生徒の不十分なところを受けとめるというのは、なかなかできることではありませんね。このペースで生徒を巻き込んでいけば、きっと授業も学校も変わっていくように思います。

それでは、参考と記録のために、いつものように議論の焦点になったところをいくつかあげておきます。

・warm upのDictation Test とBingoは、テストの方を先にやった方が生徒にとっては親切か。準備している生徒もいるはずなので。
・Review Readingでは、全体の練習と個別の練習など練習の形式が適切に配分されていてよかった。
・Comprehension Checkは、この段階では内容そのものの理解を確かめるというよりは、理解できているはずの内容を英語のやりとりの中で確認するというステップか。むしろ、そのやりとりが充分に出来るかという点に焦点を当てた方がいいのでは。
・内容の確認では、「Sarahをほめている文を探す」など言語機能に目を向けた発問が効果的だった。いちいち訳す必要もなくなる。
・flash cardを使った語いの練習では、日本語の提示が話題になった。単語の意味と訳語はいつでも同じではないので、どのような提示がいいか。北原先生(狛江1中)からは、原則的に語のコアな意味を提示しておき、後はその時にふさわしいバリエーションを添えるというアドバイスがあった。
・使用教科書(Columbus 21)は本文の扱い方に特徴があるので、本文の読みの練習、本文の中で基本的な文型を確認、そして使い方を学ぶという一般的な段取りは合わないように思う。本文を扱うときは、会話文の口語的で、受け止め方のニュアンスによって状況の説明が変わるような表現の意味を取ることにまず専念して、文型や表現の練習は別の段階で取り組んでみてはどうか。思い切って変化を持たせないと、効果的には使えないような気がする。うまく使えば、思わせぶりな、曖昧な表現から意味を類推させる訓練が出来るのでは。
・不定詞の形容詞的用法の提示と説明は、クイズを使いながら生徒を引きつけていてよかったが、例文そのものは文型を説明していてもsomething to wear (watch)のように場面設定に無理があるものもあった。
・この文型については、生徒が自分の表現として使いこなすことよりも、理解して受けとめる訓練に重点を置く方がいいのではないか。

今回は永松先生が中英研研究部のメンバーであることもあって、北原延晃(狛江1中)先生を始め研究部からの参加も目立ちました。研究部の先生方に授業を公開してもらう機会はこれからも増やしていきたいと思っています。これは、この会の設立当初のひとつのねらいでもありました。もう前世紀の話ですが。(^_^)v(文責:杉本 薫@東陽中学校)

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