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第106回授業研究会

2005年 3月12日(土) 午後2時から

会場は、江東区立東陽中学校。

テーマ 「授業を見直そう」 ビデオによる授業研究


参加者は12名。少なめですが、千葉県の高校の先生やこのところ参加の増えている大学生、大学院生のようにバラエティに富んだ参加者を得て、研究会を持つことができました。この会に集まった大学生、大学院生の中にはこの4月から東京、神奈川、青森の各地で教壇に立つ予定の方たちもいます。この研究会が少しでも役にたつことを願っています。

さて、お知らせの通り、この研究会の発足当時からの伝統であるビデオによる授業研究を再開しました。今回の授業は稲城市立稲城第一中学校の宮崎太樹先生が提供してくれました。精力的に授業改善に取り組んでいる若手の先生です。

宮崎先生からのコメント:「授業は、1年生のLESSON8(NEW CROWN)になります。音読を中心に、最後はキーワードを見ながらの本文の暗唱に持って行く予定です。授業で意識していることは、楽しくて、厳しくて、飽きさせず、自律させる、そんな授業を目指しています。」


まず、指導案についての指摘がありました。評価規準と評価の計画が十分に説明されていなかった点です。これはこの研究会ではかなり集中的に取り組んできた授業改善の一つです。授業の準備の段階でこれについて整理しておくこと、その観点から授業の構成要素および展開を吟味することは、今日の英語教育では、必須事項といえます。

1)英語でのあいさつについては、形式的になってしまう、時間がかかるという点で、宮崎先生自身も悩んでいることの一つだそうです。言語使用の機会としては、やはり重要ではないか。3年間の長期的な視点から計画的に進めることも必要。等の意見が出ました。

2)ビンゴについては、ビデオの授業では、できたラインの数を確認しているだけだったので、"Bingo!"と大きな声を出させることについて意見が出ていました。授業の最初に大きな声を出すことの大切さと、やはり英語の言語使用の機会であるという点です。

3)Dictationについては、評価との関係が話題になりました。宮崎先生はおもに「言語の知識・理解」の指導の一環と位置づけていました。練習としては効果的だが、評価方法としてはどうか、どの観点から位置づけていくか、指導の段階によって使い分けることもある。等の意見が出ています。もう少し参加者が実践を持ち寄って話し合うとさらに深められる課題であると思います。

4)英語の歌については授業行うことについてのいろいろな考えが出されました。教材として有効だが、何をねらうかを押さえておくこと、あまり文型や文法を前面に出さないこと、早い段階では歌詞はできるだけ見せないこと等々です。

5)ピクチャーカードを使ってのOral Introductionについて

ここでは、長先生からの提案がありました。
「Oral Inroduction」の後の板書(プレゼンの全体像)をデジカメで撮影して、持ち寄ってはどうか。Oral Intercactionの可能性や、バラエティに富んだIntoroductionの展開、ユニークなアイデア、AV機器の効果的な使い方などのヒントがたくさん含まれた指導実践集ができるはずだ。それを一緒に検討して共有できる環境ができれば授業改善の新たな一歩になるのではないか。」

授業研究会でも呼びかけていこうと思います。

宮崎先生のOral Introductionでは全員に発言させながら教科書の内容を紹介していくものでした。生徒の特徴を捉えた効果的な指導方法でした。

6)Reading Practiceは単語の練習、Listening & Tracking, Explanation, Chorus Reading, Pair Reading, Read and Look up, の段階をふまえたもので授業の中で最も時間をかけた練習場面です。指導の意図としては、次のステージで教科書のこのページの本文をrecitationさせることを念頭に置いたものです。

ここでは、段階的な音読指導についての議論がありました。次のステージであるrecitationとの関係もあって、授業の構成を大きく左右する議論でした。「教科書を読めるようになる」という当面の目標に近づけながら、もう一つの「暗唱できるようになる」という目標もにらんでいくことで途中の練習が足りなくなってしまわないかというのが僕の意見です。暗唱を目標におくことは教材によって効果的ですが、この教材がそれにふさわしいかどうかは意見が分かれるところではないでしょうか。それによって、ここで踏まれた段階的指導のそれぞれの「段の高さ」もかわってくるように思いました。

この授業のもう一つの難しさは、昨年から取り上げている少人数制に基づく指導体制に起因しています。さて、毎回の授業のゴールを共有しながらでないと進めにくいこの指導体制はやはり大きなネックになっています。

さて、今日の研究会を支えてくれたのは、宮崎先生の真摯な研修姿勢です。

いろいろ議論も意見も出ましたが、このように授業を公開してくれる勇気と意欲には、参加者全員が感銘を受けました。この場を借りて再度お礼を言わせてください。(文責:杉本 薫@東陽中学校)

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